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中古ノートPC + Plamo Linux で無線 LAN


Jun 01, 2006

1. はじめに

街のホットスポットを利用するために中古のノート PC を買って、無線 LAN を使えるようにしました。

ドッキング型の B5 ノートを探したら Compaq ARMADA M300 (Pen-III 600) が 3 万円で売っていたので それを買うことにしました。 案の定バッテリーが死んでいたので、新品の大容量バッテリー(16,000 円) を買いました。 合計で 46,000 円となり、結構な出費ですが、新品の B5 ノートは最低でも 10 万円はするので Web と Mail だけを使うのであればこれで十分でしょう。 ARMADA M300 は頑丈そうな作りで気に入っています。

また、無線 LAN カードと アクセスポイントのセットは NETGEAR WGB511BJP (5,800 円)を買いました。 選択の理由は PC-Success で一番安く売っていたからです。

余計な出費を抑えるため、OS は Linux を利用することにしました。

2. Plamo Linux のインストール

OpenSuSE, FedoraCore などのディストリビューションは Windows なみに便利ですが、Windows よりも重く、 とても PenIII-600 + 192 MB + 12 GB の組み合わせで動かせる代物ではありません。 そこで、日本語が使え、動作が軽い Plamo Linux 4.2 をインストールすることにしました。 Plamo Linux はノート PC 用のディストリビューションとして動作の軽快さに定評があります。 また、デバイスの自動検出にも工夫が凝らされています。日本語のフォントも多数収録されていて、他のディストリビューションより 日本語の表示がきれいです。

インストールはいたって簡単で、iso イメージをとってきてインストールするだけです。
具体的な手順は、以下の通りです。(簡単に書きますので、やり方がわからないときは Google に聞いてください。)

  1. ftp://ftp.linet.gr.jp/pub/Plamo/CD-Image/から CD iso イメージを ダウンロードする。
  2. md5sum で iso イメージがちゃんとダウンロードされたかチェックする。
  3. iso イメージを CD-R に焼く。
  4. 一枚目の CD を ドライブに入れて PC を起動する。
  5. root でログインする。パスワードは不要。
  6. コマンドラインから setup と入力。
  7. キーボードを選択する。
  8. fdisk または cfdisk (紫藤は cfdisk をお勧め)で、パーティションを作成する。 紫藤は swap を 400MB にしてあとは1つにまとめた。
  9. インストールを開始する。指示と好みに従って選択する。お任せパックが楽。紫藤は gnome つきお任せパックを選択。
  10. インストールが終わったら再起動して root でログイン。
  11. コマンドラインから setup と入力。
  12. まず、X window の設定を行う。画面の解像度だけ入力すれば後は自動でやってくれる。終了する前に "終了" を選択して設定を反映させる。
  13. ネットワークの設定を行う。DHCP を使う。
  14. setup メニューの adduser でユーザーを追加。紫藤は gnome を使うユーザーと twm (シンプルで懐かしい X window) を使うユーザーを 1つずつ追加。ソフトウェアのインストールは gnome で、普段の使用は twm で行う。シェルは bash を選択。
  15. 一般ユーザーでログインして、xinit で X window を立ち上げる。
  16. web につながるかチェックする。
  17. 好みに合うようにいろいろと設定する。
紫藤はウィンドウマネージャーとして twm が気に入っています。昔の UNIX Workstation 風で懐かしいです。
いろいろなウィンドウマネージャーが試せるので、遊んでみてください。

3. 無線 LAN を使えるようにする

結構はまりました。安いハードウェアと軽い OS を使う代償といえるでしょう。

まず、自分の無線 LAN カードが Linux に対応しているか Google に聞いてみるのが良いでしょう。 NETGEAR WG511A は ndiswrapper というエミュレータを使うと Windows 用のドライバーを用いて Linux 上で動かせる ということを Google 君から教わりました。 ndiswrapper をインストールするためにはカーネルソースに含まれる fixdep というプログラムが 必要です。 手順は以下の通りです。

  1. gnome ユーザーでログインする。(必ずしも必要ないが紫藤はこれが楽)
  2. まず、カーネルソースのインストール。
    Plamo Linux の 3 枚目の CD-R をドライブに挿入し、CD-ROM のアイコンをクリック。
    contrib → Kerner と進み、kernelsrc-2.6.15.7-noarch-P2.tgz をドラッグドロップでハードディスクにコピーする。
    ターミナルを開いて kernelsrc-2.6.15.7-noarch-P2.tgz のあるディレクトリに行き、以下のようにして インストールする。
     $ su
     # /sbin/installpkg kernelsrc-2.6.15.7-noarch-P2.tgz installpkg は Plamo のパッケージインストール用ソフト
    
  3. 次に ndiswrapper をインストールする。
    http://sourceforge.net/projects/ndiswrapper/ からndiswrapper をダウンロードして以下のようにしてインストール。
     $ tar xzvf ndiswrapper-1.16.tar.gz
     $ cd ndiswrapper-1.16
     $ make
     $ su              sudo が使えたら
     # make install    sudo make install
    
  4. Windows 用ドライバーのインストール。(ドライバー名などは自分の環境にあわせて読み替えてください。)
    1. Windows 用ドライバーの入った CD-ROM をドライブに挿入し、ディスクトップの CD-ROM アイコンをクリック。
    2. Driver → Windows XP とすすみ、WG511v2.INF をハードディスクにコピー。(とにかく *.inf が必要)
    3. ターミナルを開いて WG511v2.INF のあるディレクトリに行き、root になって以下のように入力する。
       # /usr/sbin/ndiswrapper -i WG511v2.INF
       # /usr/sbin/ndiswrapper -l   確認
        wg511v2 installed
       # /usr/sbin/ndiswrapper -m
       Adding "alies wlan0 ndiswrapper" to  /etc/modprobe.conf
      
  5. 設定はかなり面倒です。modules.conf, network.conf, network.fixed, network.mode, wireless.conf を設定する必要があります。
    1. modules.conf に以下の1行を追加。
      alias wlan0 ndiswrapper
      
    2. network.conf の case "$ADDRESS" と esac の間に以下の行を追加。(eth0, default の設定をそのままコピーする)
      wlan0,default,*)
         INFO="wlan0 default"
         DHCP=y
         PPPOE=n
         GATEWAY=+
         DNS=+
         ;;
      
    3. network.fixed に以下の行を追加。
      wlan0
      
    4. network..mode に以下の行を追加。手動で起動するようにする。
      wlan0 -m
      
    5. wireless.conf を以下のようにする。(WEP 128 bit の場合) * の項目は自分の環境に合わせて設定してください。 アクセスポイントにもよりますが、WGR614B の場合きっかり 13 文字の WEP key が必要。
      case "$ADDRESS" in
      wlan0,*,*)
          INFO="My wireless LAN"         *
          NICKNAME="WLAN"                *
          ESSID="MY_ESS_ID"              *
          NWID=
          MODE="Managed"
          FREQ=
          CHANNEL=
          SENS=
          RATE=
          KEYS="My key"                 *
          RTS=
          FRAG=
         IWCONFIG="key open" 
         IWSPY=
         IWPRIV=
         WEP="open"           
         WEP_KEYS="+s:aaaaaaaaaaaaa s:bbbbbbbbbbbbb s:ccccccccccccc s:ddddddddddddd" *
          ;;
      esac
      
      WEP_KEYS は複数設定可能。's' は文字列で設定するという意味。16進数で設定する hex オプションもあるがやり方がわかりません。 '+' はこのキーを使うという意味。

      紫藤のアクセスポイント (WGR614B) は 16 進数表示しか受け付けないので、文字列を hex にする簡単な python スクリプトを書きました。

      #! /usr/bin/env python
      KEYS=('aaaaaaaaaaaaa', 'bbbbbbbbbbbbb', 'ccccccccccccc', 'ddddddddddddd') # 13 characters
      
      for key in KEYS:
          str = ''
          for c in key:
              str = str + "%02X" % (ord(c))
          print str
      
無線 LAN カードを差し込んで、root で、
 # /sbin/ifctl wlan0 up
とすれば、使えるようになります。カードを抜く前に
 # /sbin/ifctl wlan0 down
とすることをお忘れなく。

複数のアクセスポイントにつなぐときはそれぞれの接続方法を wireless.conf と network.conf に書き、netscheme コマンドで切り替え可能です。

これで何とかつながりました。 Gnome の Network Tools で見たところ、リンクスピード 54 Mbps となっていたのでちゃんと IEEE802.11g で認識されているみたいです。 ここに書いたことが最善手かどうかはわかりません。 WPA も使えるみたいですが(追加のソフトをインストールする必要あり)、 個人宅では WEP で十分でしょう。念のため、ステルスモードと MAC address フィルタリングをかけときました。

カードによってはカーネルでサポートしているもの、 madwifi が使えるものなどがあり、設定方法がそれぞれ異なっています。 Google で調べてみてください。 また、Plamo Linux Expert という本も大変参考になりました。 Plamo Linux はマイナーなディストリビューションなので web 上には断片的な記事しかありませんでした。 この本が唯一のまとまった解説書であり(それでもかなり断片的ですが)この本無しでは無線 LAN は使えなかったでしょう。 この本は Plano 4.0 用の内容ですが、4.2 でも十分使えます。

4. メーラーと RSS リーダーのインストール

Firefox はもともと入っているので後は好みのメーラーと RSS リーダーをインストールしました。

4.1. メーラー

メーラーは Sylpheed をインストールしました。使いやすく、さくさく動く優れもののメーラーです。 Spam フィルター、スペルチェッカーなどは別途インストールする必要があるのでインストールが少し面倒といえば面倒ですが、全て
./configure 
make
sudo make install
でインストールできます。
  1. スパムフィルター: bogofilter をインストール。
  2. スペルチェックをする人は aspell, gtkspell の順にインストール。
  3. PGP を使う人は GnuPG をインストール。
  4. 最後に Sylpheed をインストール。

4.2. RSS リーダー

紫藤は Firefox エクステンションの Sage を使っています。 とてもよくできたソフトだと思います。 導入方法は http://www.maemuki.com/x/archives/2004/11/19_0011.php に詳しく書かれています。

5. 終わりに

これで安価(??)にモバイル環境が整いました。

Plamo Linux は不親切といえば不親切なディストリビューションですが、その分軽いので 古いマシンを動かすときに重宝します。 また、日本語環境が整っているのもありがたいです。

あとは気が向いたときにフォントをインストールして Yahoo Game がちゃんと表示されるようにするだけです。